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フィレンツェdiary 2

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2007年 10月 21日

10月21日 ボローニャ市立中世博物館

前回に引き続き、調査旅行でイタリアのいろいろな博物館・美術館をめぐりました。



今日はそのボローニャ編です。Profk211007_15



ボローニャは、街中にある柱廊と赤色の壁が特徴的な中世の町で、観光都市ではありませんが、実は興味深い美術館が沢山ある場所です。また街そのものも大変魅力的。左の写真は、街の中心にある広場の大聖堂前に堂々とした趣でたっています。一階はバール(喫茶店)で、ボローニャ人たちがおしゃべりを楽しんだり、散歩を楽しんだりしています。イタリアのこのような広場は車が入れないので、散歩やおしゃべりには格好の場所になります。



さて、今回紹介するのは、中世博物館という名前ですが、ヨーロッパの作品以外の工芸や民芸コレクションをもつ博物館です。メイン通りから少し外れた、ひょっとすると見過ごしてしまいそうな場所にあるのですが、入り口を入ると中庭のある立派なお邸であることがわかります。Profk211007_1



Profk211007 この博物館のコレクションは、ボローニャのフェルディナンド・コスピ侯爵(17世紀)が集めた蒐集品やIstitutoDellaScienza(自然科学研究所・18世紀)を中心に構成され。1,2階のフロアを用い、作品の制作地にわかれて展示されています。



コレクションの一例を挙げると、1階には、アジアの展示スペースがあり、中国の纏足用サンダルや、15世紀の磁器、ダチョウの卵に浅浮き彫りがされた工芸品など、17世紀のコレクショニズム流行のなかで、博物学への関心と未知の国への強い興味がはっきりと見ることの出来る作品が並べられています。また、2階にはベネツィアグラスやマヨリカ焼き、鋳物作品などヨーロッパ製の工芸品が主に展示されています。展示ケースや、説明なども大変わかりやすく整備されていて、学芸員がどのように作品を見せたいのかがよくわかります。



今回、美術館の資料室や倉庫を博物館の館長と共に調査したのですが、資料担当の研究員や館長がとても協力的で感動しました。優れたコレクションはもちろんだけれども、このように親切で優秀な研究員がいる博物館は素晴らしい!と、ますますファンになりました。イタリアでは一様にして、研究者に対して公的な場(美術館・博物館・図書館など)がとても広く門戸を開き、研究に協力的なことが多く、文化的なレベルの高さを感じます。





# by firenzediary2 | 2007-10-21 19:57 | 美術館のこと | Comments(2)
2007年 10月 17日

10月16日 スティベルト(Stibbert)美術館&バルジェッロ国立博物館

朝夕は寒くなりましたが、日中は未だシャツ一枚で過ごせる気候で、ここ数日は雲ひとつない快晴の天気が続いています。



昨日からある調査をしていて、今週はいろいろな美術館を巡ります。



今日は二つ。まず最初は、フィレンツェ駅から4番のバスに乗っていったのですが、思いがけず半時間も早く到着してしまったスティッベルト(英語読みだとスティバートです)美術館です。この私立美術館は、イギリス人スティッベルトの個人コレクションを彼の元邸宅に展示しているものです。開館まで館の横にある庭園で美しい小鳥の鳴き声をききながらリラックス。このような別荘と庭園を持つ生活とはいかがなるものかと想像しながら開館を待ちました。



美術館は道案内つきなので、通常あまり思うように時間をかけて鑑賞できないのですが、今日は幸い私たちだけでしたので、我侭をきいてもらいながら見ることができました。スティッベルト美術館の白眉はなんといっても、甲冑コレクションです。西洋、中東、東洋と「よくもこんなに集めたな」と感心してしまうくらい数多くの甲冑が展示されて、迫力があります。残念ながら、道案内が目を光らせていたので、こっそり写真もとれなかったのですが、何ともいえぬ雰囲気の展示法です。また、ヨーロッパ人の金持ち&インテリによくある東洋趣味があり、日本の壺、伊万里、中国の陶磁器などが部屋の装飾を更にデコラティブに演出しています。しかし、同行した中国陶磁器専門家の方によると“つかまされた”作品が多いとのこと・・・。確かに、私が見ても「これはいかがなものか」と思われる、いわゆる「オリエンタル趣味」の作品があります。(しかしながら、西洋人の目から見たオリエンタル観の研究には役立つ代物といえるでしょう。)自分自身が目利きであることと、優秀な古物商とのコンタクトが、質の高いコレクションの形成に重要な役割を果たしていることがわかります。



つぎに市内へ戻り、向かったのはルネサンス彫刻コレクションで知られるバルジェッロ国立博物館です。バルジェッロはもちろん、ミケランジェロの〈バッカス〉や〈聖母子像〉、 Bargello161007_2ドナテッロの〈ダヴィデ〉などで有名な博物館ですが、なんと言っても中世の館の雰囲気と彫刻作品との調和が素晴らしい空間です。今回興味深かったことは、まず、二階の彫刻の間で、ドナテッロ〈ダヴィデ〉の修復作業が公開されていたこと。横に寝かされたダヴィデに、顕微鏡を使いながら丁寧に作業を進めている修復家が展示室の真ん中におり、観客がそれをじろじろと見るというもの。彼女はちゃんと集中して作業できるのだろうか・・と少し心配になりましたが、なかなか見ることの出来ない姿であることも事実で、私もついついじろじろ見てしまいました。それから、やはり二階の最初の展示室に今まで倉庫に眠っていた(と思われる!)トスカーナ大公の16世紀イタリア・マヨリカ陶器コレクションのセクションが作られていたということ。グロテスク文様や神話主題などが色鮮やかに描かれた大判の皿が並び、なかなかの迫力でした。最後に、なんといってもこの博物館での私のお気に入りは、フランチェスコ・デ・メディチの治世下、宮廷彫刻家として活躍したジャンボローニャのブロンズ像たちです。



Bargello161007_2_2 孔雀、フクロウ、七面鳥など様々な鳥類が、超リアリズムで作られており、今にも動き出しそうです。このようなリアルな彫刻は、他にもメディチ家の別荘カステッロにジャンボローニャが制作しています。鳥のなかでも七面鳥は、15世紀末にコロンブスが「発見」した「新大陸」から運ばれた、珍しく、高価な鳥であったことがわかっています。



今日は、まったく異なる所蔵作品をもつ美術館二つを紹介しましたが、双方とも大変魅力的な空間作りをしている美術館です。









# by firenzediary2 | 2007-10-17 02:50 | 美術館のこと | Comments(1)
2007年 10月 14日

10月14日 ヴィッラ・バルディーニとボーボリ庭園と・・

やっと週末です。先週行けなかった、ヴィッラ・バルディーニの庭園へ行ってきました。



Picnic131007_15 ヴィッラ・バルディーニは傾斜のある土地に整形式の庭園としプランが組まれ、常緑の木々の間に彫刻が設置され、またペルゴラと呼ばれる蔓棚のアーチが 続く道がつくられていました。またイタリア・ルネサンス式庭園には欠くことのできない、グロッタ(洞窟)装飾もあり、貝殻や荒い石で 壁一面が飾られていました。下の写真の真ん中にあるのがバルディーニ家の紋章です。Picnic131007_2







今回は、気合をいれてサンドイッチと果物をリュックに詰め、庭園&美術館へ行きました。なぜなら、フィレンツェの美術館は最近新しい“試み?”をはじめ、今までは各美術館や庭園に対して入場料を払っていたのですが、3,4の美術館の一括チケットだけを売るシステムに変えたからです。



つまり、バルディーニの庭園の入園料で、ボーボリ庭園とピッティ宮殿にある美術館(銀器博物館、衣装史博物館)を観覧できるのです。ですから、「全部は無理でも、半分は!」と入園料9ユーロのもとをとるために、気合を入れて出かけたという訳です。



美しい整形庭園と回廊型庭園を散策したあと、トスカーナ大公国の君主メディチ家がその財力を投入して造成させた広大な庭園ボーボリに挑戦しました。ボーボリ庭園は、宮廷芸術家や宮廷建築家がその創意工夫を凝らして、君主を称揚する彫刻を置いたり、地割を考えて、庭園で開催する催しを君主が宮殿の窓から鑑賞できるようにしたりと、様々な仕掛けが施されています。



そしてこの庭園は、バルディーニ庭園と比べ、かなり広大でもあるので、初めての人はきっと迷ってしまうでしょう。その中でも私のお奨めは、坂道につくられたモンスターの顔が連なる水路です。モンスターの口から水が吹き出るようになっています。



Picnic131007_47_2残念ながら、今日は水が流れていませんでしたが、マニエリスム的な庭園意匠の一つです。更に散策をしていると、なんと、リモナイア(冬の間、寒さに弱い植物を保管しておく温室)では、「古代庭園:バビロニアから古代ローマまで」と銘をうたれた企画展まで開催されていました。それもかなり、気合が入っており、バビロニアの階段式庭園の様々な資料や、当時の水力学技術の紹介、また庭園についてのブラトンやアリストテレスをはじめとする書物や、噴水などの仕掛け、ポンペイの庭園図フレスコ画展示などについての展示があり、とても堪能しました!!(下の写真は企画展が開かれていたリモナイアです。8年前くらいはかなり寂れていましたが、最近美しくリニューアルしました。入り口正面にも、サルビアやラベンダーなど様々な花が咲いていたり、ピーマンがなっていたり(どういう美意識で植物を選んでいるのか、少し疑問・・・)美しかったです。



Picnic131007_52 ここまでで、4時間(昼食を入れて)たっており、かなり疲れていたのですが、切符にはあと二つ博物館へ行けると書いてある!、ということで、頑張って全部みてきてしまいました。銀器博物館は私のフィレンツェで最も好きな美術館の一つなので、象牙細工や貴石細工、世界中から集められた王のコレクションとヴァリエーションの富んだ展示品と嬉しい再会を果たしまし、また、今まで行く機会のなかった衣装史博物館へも訪れましたが、期待以上になかなか面白かったです。特に、私は16世紀に関心があるので、メディチ家一家の衣装の展示(と言ってもボロキレ同然ですが。)が興味深く、今も残されている肖像画を思い浮かべながら鑑賞しました。



そして結局、半日かけて2つの庭園、2つの博物館全てを制覇したわけですが、「これは少々無理があるのではないか」というのが、今日の感想です。たぶん、フィレンツェ市は切符売り場の混乱を避けるため、そしてあまり人気のない博物館の入館料を込みにして売り上げをあげるために、このような方式を取り入れたのでしょうが、これは鑑賞者をあまり考慮していないシステムです。一つ一つ、見たいときに見たい美術館へ行ける方が良かったな、と思います。



とにかく、充実した週末でした。



# by firenzediary2 | 2007-10-14 19:25 | 展覧会のことなど | Comments(1)
2007年 10月 13日

10月12日 今年最高の企画展入館者数!なぜなら・・・

続けてもう一つ、展覧会のお話をしたいと思います。



それは、近日公開になったヴィッラ・バルディーニで開催されている「Cabianca e la civilta' dei Macchiaioli(カビアンカとマッキャイオーリの文化)」です。このヴィッラは、庭園も有名なのですが、時間の都合で前回は、終わりが迫っていた展覧会だけに行きました。



マッキャイオーリは、乱暴な言い方をしてしまうと“イタリアの印象派”ともいえる画家たちを指しています。優しい朝の陽光や、ゆるやかな日暮れの光に照らされた人々や景色を描いた作品が、改装された美しいヴィラに展示されていました。



そしてタイトルにもある通り、実は本展覧会は、今年の企画展入館者数最高をたたき出しました。とは言っても、“イタリア人の”入館者数です。「なぜ?イタリア人は、(日本人が印象派が好きなように)マッキャイオーリが好きなの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。もちろん、トスカーナの風景や海辺が題材となるマッキャイオーリの作品が多くのフィレンツェ人達の関心を引いていることは確かなことです。しかし、今回、もう一つ大きな要因があり、それはこの展覧会が「フリー(ただ)」であるということです。



実は私はそれを知らずに行ったので、「どうせ空いているだろう」という予想を裏切り、ヴィッラの入り口からはみ出している大勢の人(イタリア人がほとんど)を見て、本当に驚きました。更に、「ただ」だから、と聞いてまたびっくり。「ただ」だと、こんなにもイタリア人が観に来るのか!と。芸術の町、フィレンツェにはきらめく星のような素晴らしい美術館が多々ありますが、普段そこを徘徊しているのは、ガイドブックをもつ旅行者ばかり。イタリア人たちが、ゆっくりと休日を美術館で過ごす!などという姿はみたことがありませんでした。



「そうか、やはり皆、いろいろな展覧会に関心を持っているのだな。入館料が不要だったら、多少遠くても(ヴィッラは、町の中心から離れていて、とても急な坂の上に入り口があります)足を運ぶのだな。」ということがわかり、嬉しくなりました。



このような数字、このような展覧会の状況を、フィレンツェ市やイタリア国家がしっかりと判断し、国の文化度をあげるためには、どうしたらよいのかを考えてくれれば嬉しいなぁと思います。



他方、日本で同じ事をしたら、(超メジャーというわけではない展覧会をタダにする)、地の利が悪くても、人があふれるのだろうか・・・と少し不安に思いました。



# by firenzediary2 | 2007-10-13 03:15 | 展覧会のことなど | Comments(0)
2007年 10月 09日

10月8日 図書館の展覧会

Ottobremedici_7 週末は、写本の展覧会へ行きました。場所は、今まで研究者のみがアクセス可能で、公には閉ざされていた、フィレンツェの宝石のような蔵書を誇るラウレンツィアーナ図書館。一般の人々にも、広くフィレンツェの宝を知ってもらうための、新しい試みとして開かれました。



それにあわせて、ミケランジェロがメディチ家のために造った図書館へも入れることになり、私にとっても、図書館で調査はしたことはあったものの、メディチ家の図書館へ入ることははじめての体験でした。天井にも木製の浮き彫り。椅子にも美しい浮き彫りが施され、思わず恍惚としてしまう空間でした。そこにはグロテスク文様が描かれたステンドグラスがあり、太陽の光がやわらかく屈折して室内を明るくしていました。写真は、入り口の階段。流線型の、まるで砂浜に打ち寄せる波のような階段です。御影石製で美しいことこの上ありません!



展覧会には、研究者にもマイクロフィルムでしか見せてくれない貴重な文献があり、美しい細密画を堪能できる、少々通好みの展覧会でした。細密画は、ドラゴンや人魚など、空想の動物をテーマに掲げ、展示がされていました。



これからも第二弾、第三弾の展覧会が企画されることを楽しみにしましょう。



# by firenzediary2 | 2007-10-09 03:40 | 展覧会のことなど | Comments(1)